④インド神話とヨガ哲学で読み解く 聖者ヴァシシュタのポーズ

④ インド神話とヨガ哲学で読み解く 聖者ヴァシシュタのポーズの物語

床と天を一本でつなぐ
“内なる真実”に光が通る感覚を育てるアーサナ。

Vasiṣṭhāsana(聖者ヴァシシュタのポーズ)
写真:Vasiṣṭhāsana(聖者ヴァシシュタのポーズ)

床に触れているのは一つの手と足だけ。そこから全身を天へ伸ばすと、地から空へ光が走るような広がりが生まれます。見た目は難しそうでも、
呼吸のリズムが整えば体は自然に安定へ。
これが聖者ヴァシシュタのポーズ(Vasiṣṭhāsana)です。

インド神話|リシ(聖仙)ヴァシシュタ

ヴァシシュタは古代インドの「七聖仙」の一人。
サンスクリット語のリシ(Ṛṣi)
「宇宙の真理を聞き取る者」を意味し、深い瞑想から法則を直感し、
詩やマントラとして伝えました。
彼らの洞察はシュルティ(聞かれたもの)として
ヴェーダやウパニシャッドに結晶し、
後代のバガヴァッド・ギーターにも受け継がれていきます。

ヴァシシュタは、欲望の神や強大な王との対立など幾多の試練にさらされながらも、力ではなく祈りと叡智で世界を導いた賢者。外側がどれほど乱れても、
内なる真実は揺るがない
その生き方は、ヨガ哲学そのものです。

一本の手足に身を委ねるとき、外のノイズより内側の真実を信じる練習が始まる。

マットの上で感じる“小さな宇宙”

最初は腕が震えたり、バランスが難しく感じるかもしれません。
けれど呼吸を深め胸を開くと、体はすっと落ち着き、
内側に一本の光が通るような安心感が生まれます。
マットで真っ直ぐに立ち続ける経験は、日常でも自分を支える心の軸を育てます。

ヨガ哲学|内なる真実を見つめる

ヴァシシュタの物語は、外的状況に振り回されないために、
呼吸と意識で内なる真実へ戻ることを教えます。
八支則のイーシュワラ・プラニダーナ(大いなるものへの委ね)とタパス(継続的な鍛錬)を通じて、静かな強さは育っていくのです。

地と天を結ぶ一本の線を感じて——外の嵐が止まなくても、内側の空は澄み渡る。

NORIより🧘‍♀️🌿 光はいつも内側から。呼吸とともに、やさしく強く。


ヨガ哲学ワークショップ

ヴァシシュタが示した内なる真実に戻る学びを、日常に。ヨガはポーズだけではありません——生き方としてのヨガをやさしく深くご一緒に。