⑥インド神話とヨガ哲学で読み解く 聖者マッチェンドラのポーズ

⑥ インド神話とヨガ哲学で読み解く 聖者・マッチェンドラのポーズ

背骨を深くねじり、内なる静けさへ。海の底で生まれた“聴く力”を思い出す。

写真:Ardha Matsyendrāsana(アルダ・マッチェンドラのポーズ)

このポーズは、体を捻るだけの動きではありません。背骨の中心に意識を向け、外の音が消えていくとき、心の奥で“本当に大切な声”が静かに響きます。

海の底で目覚めた“聴く者”――マッチェンドラの物語

大昔、シヴァ神が女神パールヴァティに宇宙の真理を語っていたとき、その声を偶然に一匹の魚が聴きました。魚は波音に混じるその教えに身を委ね、長い時間ただ静かに聴き続け、やがて心が深く目覚めて聖者マッチェンドラとなった――そんな伝承が残っています。

「聴く」ことで目覚めたこの物語は、大切な知恵は誰の内側にもすでに届いているというヨガのメッセージを伝えています。私たちもまた、静けさの中で自分の内なる声を受け取る力を持っています。

情報に揺れる時代に“内側の声”を取り戻す

仕事、家庭、SNS――外からの情報はいつも賑やかで、心はあっという間に疲れてしまいます。マットの上で静かにねじると、外の雑音がほどけて、胸の奥にやさしい安心が広がります。それは数字や評価ではなく、あなた自身が信じられる確かな感覚です。

ねじることで心と体が整う理由

  • 心を落ち着かせる:背骨まわりの神経がやさしく刺激され、気持ちを安定させるホルモン(セロトニン)の分泌を助けます。
  • お腹の調子を整える:腹部のマッサージ効果で腸の動きが活発になり、消化を助け、張りや重さの軽減にも役立ちます。
  • 背中・腰のこわばりを解放:背筋がしなやかになり、長時間のデスクワークでたまった緊張がほどけていきます。

やさしい心がけ――“委ねる”“手放す”“聴く”

ねじりは、力で押し切るほど深まりません。吐く息で余分な力やこだわりを手放し、吸う息で背すじを長く保つ。できる範囲で十分です。委ねる・手放す・聴く――この3つの姿勢が、ポーズを通して心に根づいていきます。

海の底で真理を聴いた魚のように、静かな呼吸の中で「内側からの答え」を受け取ってみてください。

NORIより🧘‍♀️🌿 今日のねじりが、あなたの毎日にやさしい余白をつくれますように。